週末の旅に台風などで雨が降り、先週の天気が良かった三連休は自宅で過ごした。
そのため、サイクリングは約1ヶ月ぶり。
1週間前の天気予報では雨だったが、天気の変化が早まり、金曜日の時点では、県北部を除けば、土曜日の晩から日曜日は晴れの予報。

土曜日は仕事関係の用事で松本に。
午後から晴天だったが、北アルプス方面は雲の中。でも、冬型の気圧配置はすぐに緩む予報なので、予定どおり土曜日の夜に出発することにした。
まずは、自転車の仕様変更。ライトを2灯体制にするためにはフロントバックを使えない。
そこでサドルバックを使用するのだが、使用中のシートピラーとサドルではサポーターが着かないので、シートピラーごと、以前使用していたフィジークのアリアンテに交換する。
さらに、輪行でフレームに傷を付けないよう、梱包材を巻く。準備完了。

あとは、コースの最終確認。
以前、乗鞍岳に行ったときに使った、松本行き最終電車、長野駅発22時55分に乗るのだが、22時頃になって日の出の時刻を調べたら、6時22分。7月に乗鞍岳に行ったときよりも1時間45分も遅い。
乗鞍岳に行ったときは、上高地と安房峠の分かれで空が白み始め、午前5時16分に安房峠に着いている。
今回のコースと比べたら、野麦峠までの距離と標高差は、安房峠とほぼ同じ。
ということは、前回と同じペースと仮定すれば、真っ暗なうちに野麦峠に着いてしまう。
野麦峠は氷点下になるので、暗いうちに峠を下り始めるのはリスクが高過ぎる。
ここで迷いが出てしまったが、ペースを落とせばいいからと考えて、予定どおり出発する。
しかし、駅までの半分の地点まで行ったところで、オーバー手袋を忘れたことに気付き、ダッシュで取りに戻る。
ついでに、薄い長袖のTシャツも持ってくる。
輪行を終えて改札口に着いたのが発車の4分前。やれやれ。
電車は前回同様すいていて、篠ノ井を過ぎると、ロングシートの上に横になって仮眠を取る。
松本駅には予定どおり24時10分に到着。
今回も、野麦峠からのダウンヒルに備え明るくなる6時頃に峠に着けばいいので、急ぐ必要はない。
松本駅出発は、0時40分。

前回と同様、R158を淡々と走る。
今回も波田のセブンイレブンで休憩しようと思って走っていたら、ごく弱い霧雨のようなものが降ってきた。
当初は、路面が濡れるほどのものでなかったが、コンビニに着く頃には、路面はしっとりと濡れている。
とりあえず、コンビニで夜食と補給食を買って、店の前でカップ麺とおにぎり大1個を食べる。
食後にスマホを確認したら、レーダーに雲は見当たらないし、天気予報に変更はないので、多分、冬の山間地特有の時雨だろうと思い、続行することにした。
いまさら、戻って泊まるところもないし...
出発すると、新島々辺りで雨は一旦止んだが、その後また降り始め、雨の密度が増してきた。
困った...この寒さで雨に濡れてしまうと、命に関わる。雨具は持ってないし...
当惑しつつも、そのまま進むと、やがて雨は止み、道の駅風穴の里に着く頃には、星空が見え始め、路面もドライに変わった。

ふ~、良かったぁ。
道路情報では、気温は1℃。まあ、予想どおりかな。

さらに進むと、マイナス1度まで下がる。

星空はだんだん広がってきて、進行方向に、まずオリオン座が確認できた。
写真に撮るのも試みたが、カメラの性能が悪く、ほとんど写らない。
走ったり止まったりで、だんだん寒くなってくる。
ふとガードレールを見ると、霜が降りてキラキラ光っている。寒いわけだ。
奈川渡ダムのトンネル内の分岐点。今回は、左に進む。

このあと、いくつもトンネルを通るが、トンネル内はナトリウム灯の照明が明るく安心できる。交通量も無いに等しい。
奈川の集落に近づくと、星空は満天となり、星を見ながらの走行となる。
オリオン座以外には、さそり座、カシオペア座、おおぐま座を確認できた。
月は半月ぐらい

冬の星空なので、星の数も多く、こんな澄んだ満天の星空は、何年振りだろう。
時間に余裕があるので、奈川の道の駅のような施設で休憩していく。

ここでは自販機でホットドリンクを買おうと財布の中を見て、目が点になる。
1万円札、5千円札、少々の小銭。
今回ドリンクを買うと、このあと、コンビニまで買い物ができない。
しかし、身体も冷え切っているので、ここで暖を取るため、温かいドリンクを買い、菓子パン2個を食べる。
かなり寒いので、とにかく補給をしっかり取らないと、体調を崩してしまう。
ここまで、下半身のウェアは、ランニング用のタイツに夏用のレーパン、長めの靴下だが、さすがに寒いので、下り用に持ってきたウィンドブレーカーのパンツをはいていく。
さて、スタートすると、一旦ダウンヒルが入るが、その寒いこと!
北海道の真冬のスキー場で直滑降しているのと同じ。
下りが終わるとホッとする。
境峠方面と分かれると、家の数もだんだん減り、そのうち山の中になる。
ここで後から車の音。オープンカーのユーノスロードスターが追い抜かしていった。
こんな町寒い夜道をオープンカーとは、物好きもいるもんだ。人のことは言えないが。
上っていると寒さも紛れるようになるが、今度は睡魔が襲ってきた。
眠くて蛇行してしまうので、ガードレールに近寄ると谷に転落しそうで怖い。
眠さの原因は普段走行中は掛けないメガネかなと思い、外すと少し楽になった。
しかし、しばらく行くと、また蛇行が始まる。
今度は立ち止まってラジオ体操の体側を曲げる運動をしてみたら、これが効果的で、睡魔は収まった。
ふ~、良かった。
その頃から、道は谷筋を離れ、山腹を折り返しながら上っていくようになる。
いつしか満天の星空も、徐々に星の数が減ってくる。
あ~、ようやく空が白み始めてきたんだぁ...しみじみ...
東側の視界が開けると、山並みに明るみが差している。夜明けは近い。

頭上には月。

進行方向を変えると、お~、ついに乗鞍岳が目に飛び込んできた。

徐々に明るくなってくるので、気分も上がる。


そして、ようやく、野麦峠に到着。まだ夜明け前の5時55分。


追加で持ってきた薄い長袖を着込み、ネックウォーマーで口も覆い、完全防備で峠を下り始める。

野麦峠の長野県側は、立ち漕ぎが必要な急坂だったが、こちらはなだらか。

路面は基本ドライだが、時折道を横切る湧き水がシャリシャリに凍っている。

一度は氷の中に突っ込み、山側の路肩まで寄ってしまったが、事なきを得た。
紅葉が終わった風景を見ながら、ゆっくりと下っていく。

ようやく、野麦の集落に到着。

サドルバックには霜が降りている。

ちょうど気温表示があった。マイナス5℃。

ということは、峠はマイナス7~8℃ぐらいだったのかな。
さらに下っていくと、道は一旦沢筋から離れ、寺坂峠に向かって上っていく。
寺坂といえば、学生時代にパン工場でバイトしていたときに、寺坂さんというカッコイイお姉さんがいたなぁ。懐かしい。
一気に峠まで行こうと思っていたが、御嶽山と思われる白い山が見えてきたので立ち止まる。

峠の頂上は、ここからすぐだった。ここでも、マイナス5℃

ここからの下りは、特に景色に期待はなかったが、折り返して走行方向が変わると、突然目の前に乗鞍岳が現れた。

見る方向が変わると山の形も当然変わる。
阿多野郷の集落の直線区間に差し掛かると、なんとランドナーに乗った人が上ってくる。
時刻は7時20分。こんな時間にここを上っているということは、どこに宿泊したのだろう?
振り返ると、壮大な乗鞍岳。このすれ違った人は、これを見ながら上ってきたんだ。

野麦峠は、岐阜県側から上った方が正解かも。
さらに下っていくと、夜明け後の最初の車とすれ違う。車の屋根にはロードバイクが積まれていた。
どこかに車をデポして野麦峠に行くのだろうか?
そして、ようやくダム湖まで下りてきて、寒いダウンヒルは終わった。

ここからは、木曽町との境、長峰峠に向かって上り返す。
こちらは勾配が緩いので、気持ち良く上っていける。
早く日向に出ないかな~、と思って走っていると、突然後輪に異変が発生。
パンクだー。

しばらくチューブラーを使っていたので、クリンチャーのチューブ交換に手こずる。
パンクの原因を探すと、1mmぐらいの小さな岩のカケラが刺さっていた。
その時見つけたのがこれ。タイヤが劣化して、一部剥がれている。

こんなのが2箇所もあった。
応急修理用に持っているガムテープをタイヤの裏側に4重ぐらい貼り応急措置とする。
チューブ交換とタイヤの修理に30分弱も掛けてしまった。
スタートすると、ようやく念願の日向に突入。

ウィンドブレーカーのパンツを脱ぐと、脚も軽くなった。
日和田の交差点ではマイナス3℃。まだ寒いなぁ。

峠が待ち遠しくなってくる。
道路沿いには、ここはランナーが走っているので注意するよううながす標識が所々設置されていて、高所トレーニングで実業団の選手が走りに来るのかなぁと思っていたら、まさに一人の女性ランナーが走っているのに追いつきびっくりした。
追い越すときに挨拶したが、市民ランナーのようだった。
そして間もなく、御嶽山が顔を出した。

御嶽山はすぐに隠れたが、峠からの眺望に期待が高まる。
長峰峠に到着。

下り始めると、御嶽山が再び顔を出した。

ここから開田高原までは、勾配が緩くカーブの多い気持ちのいいダウンヒル。
ここで、2人組のロードバイクの方とすれ違う。彼らも服装は完全防備だ。
開田高原まで下りてくると、気持ちのいい風景が広がっていた。


進行方向には中央アルプスの山並み。

ここからは、御嶽山の展望のオンパレード。

西野川を渡る。

川を渡り九蔵峠に向かって上り始めると、御嶽山がドーン。

九蔵峠の手前には御岳山展望台があった。
展望台には木材チップで舗装された細い道が作られている。

出島のようなところに展望台はあった。
樹海の上に鎮座する御嶽山は、まさに絶景。

入口まで戻って御嶽山を見ながら菓子パン2個を食べる。
次は、九蔵峠。

ここにも展望台があったが、先客がいたこともあり写真を撮るのは割愛した。ほぼ同じ風景だし。
九蔵峠の下りが終わり、集落に出る手前で右のペダルの異変に気付く。
どうも固定が甘いようだ。
ちょうど広場に出たので下りて確認してみたら、クリートがはずれかかっていた。

ネジが1個脱落しているし、他の2個も緩んでいた。
左足の方も緩みは同様だった。新しいシューズなので、確認すべきだった。
その後は緩いアップダウンを繰り返すと、小学校のある大きめの集落に出た。
今通ってきたR361はここから地蔵トンネルに向かう。
地蔵トンネルの方が上りが少なく道も広いが、ここは折角だから、右折して旧道である地蔵峠を越えていくことにする。
上りは思ったより長く、眺望も開けないので黙々と上るが、傾斜が落ちる頃にようやく展望台があった。
地蔵峠展望台

峠はここから数百mぐらいだったかな。
地蔵峠に到着。

道標の横には乗鞍岳が見えるではないか。ラッキー!来た甲斐があった。

峠には、円錐形の印象的な木と、お地蔵さん。なかなかいい雰囲気の峠だ。

ここから木曽福島の街まではずっと下り。
車は地蔵トンネルの方を通るので、こちらの旧道はホントに静か。
その分、路面に落ち葉があるなど、危険な状況もあるので、写真を撮りながら、ゆっくり下っていく。
途中、4人組と思われるグループの方々とすれ違ったが、3人がランドナー、1人がマウンテンバイクだった。
この峠道は、やはり、ランドナーが似合う峠だと思う。
突然、展望が開け、南アルプスの山が見えたので、立ち止まる。

ふとガードレールの向こう側に視線を落とすと、あっ、滝だ。

ちょうど滝の落ち口だったのだ。
少し歩いて戻り、落ち口を上から覗く。

普通の小川がすごい滝になるんだなぁ。
滝に向かって下っていく道

滝の真下まできた。

滝の落差は当初135mだったが、道の改修で現在は100mだそうだ。
説明板によれば、この唐沢の滝は、王滝村の氷が瀬、上松町の寝覚ノ床と並び木曽三勝と呼ばれるとのこと。
へ~、そうなんだ。他の2つは既に見ているので、これで三勝を極めた。なんか得した気分。
ここからは、黄葉を楽しみながらの下りとなる。



今年の紅葉は去年と違って色が悪い。雨が多かったせいだろうか。
すごく絵になる風景に出た。

見上げると、未明に見た半月がまだ空にあった。

さらに黄葉を楽しむ。


木曽福島の町はずれでR19に入ると、最後の目的地である奈良井宿に向かう。
R19は大型などの交通量が多く、結構神経を使う。
途中、コンビニに寄って最後の補給。
おにぎり大1個、牛肉コロッケ1個、菓子パン1個を食べる。
奈良井駅から輪行で帰りたいと思っていたので、ここで電車の時刻を確認したら、13時25分発の電車を逃すと次は15時56分発となる。
現在、12時25分で、あと1時間。輪行作業を除くと45分しかない。
ちょっと無理かなぁ。
2時間以上も待つのは嫌なので、目的地を塩尻に変更する。
目標は塩尻発14時54分発の特急しなの。
そうと決まると、いざ奈良井宿へ。
鳥居トンネルは道幅が狭く危険なので、姥神トンネル、奈良井ダムと迂回して、奈良井宿には13時15分頃に到着。
奈良井宿の駐車場脇のごく短いショートカットの山道を通り街道筋に出る。
街道筋の入口。大木が立っていた。

案内表示。古い町並みは結構長い。

ゆっくりと流す。


奈良井駅のホームの上

ここから再びR19に戻り、先を急ぐ。
塩尻までの距離はわからないが、ギリギリかなぁ。
R19は全体的には下り基調だが、旧街道を避けたり、鉄道の跨線橋だったり、意外とアップダウンがある。
予定の電車に間に合うよう、とにかく一所懸命自転車を漕ぐ。
塩尻ICまでの距離表示が出始めると間に合いそうな雰囲気になってきた。
あと4~5kmかと思っていたら、急に塩尻駅1kmの表示がでて、これで一安心。
塩尻駅には、14時25分前に到着。

発車までにちょうど30分あるので、ちょうどいい時間。
乗車前に缶コーヒーを買って、無事車中の人となる。
松本からの北アルプスの風景は素晴らしく、姨捨からの善光寺平の風景もすごく良かった。
徹夜で走ってきたので時折寝落ちしそうになったが、景色を楽しむため何とか堪えた。
帰宅後は、汚れた自転車の掃除、風呂、食事支度と食事の順にこなす。その後、写真の整理をし始めたが、20時から女城主直虎を見たら、作業する気が失せてしまい、布団を引いてバタンキュー。
月曜日の深夜に至り、ようやく書き終えた。
今回は、本当に会心のサイクリングとなった。
走行距離:152.52km、所要時間:13時間40分、AVE:16.1km/h、グロス:11.2km/h、獲得標高:2771m
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そのため、サイクリングは約1ヶ月ぶり。
1週間前の天気予報では雨だったが、天気の変化が早まり、金曜日の時点では、県北部を除けば、土曜日の晩から日曜日は晴れの予報。
そこで、冬期閉鎖を今月16日に控えた野麦峠に行くことにした。

土曜日は仕事関係の用事で松本に。
午後から晴天だったが、北アルプス方面は雲の中。でも、冬型の気圧配置はすぐに緩む予報なので、予定どおり土曜日の夜に出発することにした。
まずは、自転車の仕様変更。ライトを2灯体制にするためにはフロントバックを使えない。
そこでサドルバックを使用するのだが、使用中のシートピラーとサドルではサポーターが着かないので、シートピラーごと、以前使用していたフィジークのアリアンテに交換する。
さらに、輪行でフレームに傷を付けないよう、梱包材を巻く。準備完了。

あとは、コースの最終確認。
以前、乗鞍岳に行ったときに使った、松本行き最終電車、長野駅発22時55分に乗るのだが、22時頃になって日の出の時刻を調べたら、6時22分。7月に乗鞍岳に行ったときよりも1時間45分も遅い。
乗鞍岳に行ったときは、上高地と安房峠の分かれで空が白み始め、午前5時16分に安房峠に着いている。
今回のコースと比べたら、野麦峠までの距離と標高差は、安房峠とほぼ同じ。
ということは、前回と同じペースと仮定すれば、真っ暗なうちに野麦峠に着いてしまう。
野麦峠は氷点下になるので、暗いうちに峠を下り始めるのはリスクが高過ぎる。
ここで迷いが出てしまったが、ペースを落とせばいいからと考えて、予定どおり出発する。
しかし、駅までの半分の地点まで行ったところで、オーバー手袋を忘れたことに気付き、ダッシュで取りに戻る。
ついでに、薄い長袖のTシャツも持ってくる。
輪行を終えて改札口に着いたのが発車の4分前。やれやれ。
電車は前回同様すいていて、篠ノ井を過ぎると、ロングシートの上に横になって仮眠を取る。
松本駅には予定どおり24時10分に到着。
今回も、野麦峠からのダウンヒルに備え明るくなる6時頃に峠に着けばいいので、急ぐ必要はない。
松本駅出発は、0時40分。

前回と同様、R158を淡々と走る。
今回も波田のセブンイレブンで休憩しようと思って走っていたら、ごく弱い霧雨のようなものが降ってきた。
当初は、路面が濡れるほどのものでなかったが、コンビニに着く頃には、路面はしっとりと濡れている。
とりあえず、コンビニで夜食と補給食を買って、店の前でカップ麺とおにぎり大1個を食べる。
食後にスマホを確認したら、レーダーに雲は見当たらないし、天気予報に変更はないので、多分、冬の山間地特有の時雨だろうと思い、続行することにした。
いまさら、戻って泊まるところもないし...
出発すると、新島々辺りで雨は一旦止んだが、その後また降り始め、雨の密度が増してきた。
困った...この寒さで雨に濡れてしまうと、命に関わる。雨具は持ってないし...
当惑しつつも、そのまま進むと、やがて雨は止み、道の駅風穴の里に着く頃には、星空が見え始め、路面もドライに変わった。

ふ~、良かったぁ。
道路情報では、気温は1℃。まあ、予想どおりかな。

さらに進むと、マイナス1度まで下がる。

星空はだんだん広がってきて、進行方向に、まずオリオン座が確認できた。
写真に撮るのも試みたが、カメラの性能が悪く、ほとんど写らない。
走ったり止まったりで、だんだん寒くなってくる。
ふとガードレールを見ると、霜が降りてキラキラ光っている。寒いわけだ。
奈川渡ダムのトンネル内の分岐点。今回は、左に進む。

このあと、いくつもトンネルを通るが、トンネル内はナトリウム灯の照明が明るく安心できる。交通量も無いに等しい。
奈川の集落に近づくと、星空は満天となり、星を見ながらの走行となる。
オリオン座以外には、さそり座、カシオペア座、おおぐま座を確認できた。
月は半月ぐらい

冬の星空なので、星の数も多く、こんな澄んだ満天の星空は、何年振りだろう。
時間に余裕があるので、奈川の道の駅のような施設で休憩していく。

ここでは自販機でホットドリンクを買おうと財布の中を見て、目が点になる。
1万円札、5千円札、少々の小銭。
今回ドリンクを買うと、このあと、コンビニまで買い物ができない。
しかし、身体も冷え切っているので、ここで暖を取るため、温かいドリンクを買い、菓子パン2個を食べる。
かなり寒いので、とにかく補給をしっかり取らないと、体調を崩してしまう。
ここまで、下半身のウェアは、ランニング用のタイツに夏用のレーパン、長めの靴下だが、さすがに寒いので、下り用に持ってきたウィンドブレーカーのパンツをはいていく。
さて、スタートすると、一旦ダウンヒルが入るが、その寒いこと!
北海道の真冬のスキー場で直滑降しているのと同じ。
下りが終わるとホッとする。
境峠方面と分かれると、家の数もだんだん減り、そのうち山の中になる。
ここで後から車の音。オープンカーのユーノスロードスターが追い抜かしていった。
こんな町寒い夜道をオープンカーとは、物好きもいるもんだ。人のことは言えないが。
上っていると寒さも紛れるようになるが、今度は睡魔が襲ってきた。
眠くて蛇行してしまうので、ガードレールに近寄ると谷に転落しそうで怖い。
眠さの原因は普段走行中は掛けないメガネかなと思い、外すと少し楽になった。
しかし、しばらく行くと、また蛇行が始まる。
今度は立ち止まってラジオ体操の体側を曲げる運動をしてみたら、これが効果的で、睡魔は収まった。
ふ~、良かった。
その頃から、道は谷筋を離れ、山腹を折り返しながら上っていくようになる。
いつしか満天の星空も、徐々に星の数が減ってくる。
あ~、ようやく空が白み始めてきたんだぁ...しみじみ...
東側の視界が開けると、山並みに明るみが差している。夜明けは近い。

頭上には月。

進行方向を変えると、お~、ついに乗鞍岳が目に飛び込んできた。

徐々に明るくなってくるので、気分も上がる。


そして、ようやく、野麦峠に到着。まだ夜明け前の5時55分。


追加で持ってきた薄い長袖を着込み、ネックウォーマーで口も覆い、完全防備で峠を下り始める。

野麦峠の長野県側は、立ち漕ぎが必要な急坂だったが、こちらはなだらか。

路面は基本ドライだが、時折道を横切る湧き水がシャリシャリに凍っている。

一度は氷の中に突っ込み、山側の路肩まで寄ってしまったが、事なきを得た。
紅葉が終わった風景を見ながら、ゆっくりと下っていく。

ようやく、野麦の集落に到着。

サドルバックには霜が降りている。

ちょうど気温表示があった。マイナス5℃。

ということは、峠はマイナス7~8℃ぐらいだったのかな。
さらに下っていくと、道は一旦沢筋から離れ、寺坂峠に向かって上っていく。
寺坂といえば、学生時代にパン工場でバイトしていたときに、寺坂さんというカッコイイお姉さんがいたなぁ。懐かしい。
一気に峠まで行こうと思っていたが、御嶽山と思われる白い山が見えてきたので立ち止まる。

峠の頂上は、ここからすぐだった。ここでも、マイナス5℃

ここからの下りは、特に景色に期待はなかったが、折り返して走行方向が変わると、突然目の前に乗鞍岳が現れた。

見る方向が変わると山の形も当然変わる。
阿多野郷の集落の直線区間に差し掛かると、なんとランドナーに乗った人が上ってくる。
時刻は7時20分。こんな時間にここを上っているということは、どこに宿泊したのだろう?
振り返ると、壮大な乗鞍岳。このすれ違った人は、これを見ながら上ってきたんだ。

野麦峠は、岐阜県側から上った方が正解かも。
さらに下っていくと、夜明け後の最初の車とすれ違う。車の屋根にはロードバイクが積まれていた。
どこかに車をデポして野麦峠に行くのだろうか?
そして、ようやくダム湖まで下りてきて、寒いダウンヒルは終わった。

ここからは、木曽町との境、長峰峠に向かって上り返す。
こちらは勾配が緩いので、気持ち良く上っていける。
早く日向に出ないかな~、と思って走っていると、突然後輪に異変が発生。
パンクだー。

しばらくチューブラーを使っていたので、クリンチャーのチューブ交換に手こずる。
パンクの原因を探すと、1mmぐらいの小さな岩のカケラが刺さっていた。
その時見つけたのがこれ。タイヤが劣化して、一部剥がれている。

こんなのが2箇所もあった。
応急修理用に持っているガムテープをタイヤの裏側に4重ぐらい貼り応急措置とする。
チューブ交換とタイヤの修理に30分弱も掛けてしまった。
スタートすると、ようやく念願の日向に突入。

ウィンドブレーカーのパンツを脱ぐと、脚も軽くなった。
日和田の交差点ではマイナス3℃。まだ寒いなぁ。

峠が待ち遠しくなってくる。
道路沿いには、ここはランナーが走っているので注意するよううながす標識が所々設置されていて、高所トレーニングで実業団の選手が走りに来るのかなぁと思っていたら、まさに一人の女性ランナーが走っているのに追いつきびっくりした。
追い越すときに挨拶したが、市民ランナーのようだった。
そして間もなく、御嶽山が顔を出した。

御嶽山はすぐに隠れたが、峠からの眺望に期待が高まる。
長峰峠に到着。

下り始めると、御嶽山が再び顔を出した。

ここから開田高原までは、勾配が緩くカーブの多い気持ちのいいダウンヒル。
ここで、2人組のロードバイクの方とすれ違う。彼らも服装は完全防備だ。
開田高原まで下りてくると、気持ちのいい風景が広がっていた。


進行方向には中央アルプスの山並み。

ここからは、御嶽山の展望のオンパレード。

西野川を渡る。

川を渡り九蔵峠に向かって上り始めると、御嶽山がドーン。

九蔵峠の手前には御岳山展望台があった。
展望台には木材チップで舗装された細い道が作られている。

出島のようなところに展望台はあった。
樹海の上に鎮座する御嶽山は、まさに絶景。

入口まで戻って御嶽山を見ながら菓子パン2個を食べる。
次は、九蔵峠。

ここにも展望台があったが、先客がいたこともあり写真を撮るのは割愛した。ほぼ同じ風景だし。
九蔵峠の下りが終わり、集落に出る手前で右のペダルの異変に気付く。
どうも固定が甘いようだ。
ちょうど広場に出たので下りて確認してみたら、クリートがはずれかかっていた。

ネジが1個脱落しているし、他の2個も緩んでいた。
左足の方も緩みは同様だった。新しいシューズなので、確認すべきだった。
その後は緩いアップダウンを繰り返すと、小学校のある大きめの集落に出た。
今通ってきたR361はここから地蔵トンネルに向かう。
地蔵トンネルの方が上りが少なく道も広いが、ここは折角だから、右折して旧道である地蔵峠を越えていくことにする。
上りは思ったより長く、眺望も開けないので黙々と上るが、傾斜が落ちる頃にようやく展望台があった。
地蔵峠展望台

峠はここから数百mぐらいだったかな。
地蔵峠に到着。

道標の横には乗鞍岳が見えるではないか。ラッキー!来た甲斐があった。

峠には、円錐形の印象的な木と、お地蔵さん。なかなかいい雰囲気の峠だ。

ここから木曽福島の街まではずっと下り。
車は地蔵トンネルの方を通るので、こちらの旧道はホントに静か。
その分、路面に落ち葉があるなど、危険な状況もあるので、写真を撮りながら、ゆっくり下っていく。
途中、4人組と思われるグループの方々とすれ違ったが、3人がランドナー、1人がマウンテンバイクだった。
この峠道は、やはり、ランドナーが似合う峠だと思う。
突然、展望が開け、南アルプスの山が見えたので、立ち止まる。

ふとガードレールの向こう側に視線を落とすと、あっ、滝だ。

ちょうど滝の落ち口だったのだ。
少し歩いて戻り、落ち口を上から覗く。

普通の小川がすごい滝になるんだなぁ。
滝に向かって下っていく道

滝の真下まできた。

滝の落差は当初135mだったが、道の改修で現在は100mだそうだ。
説明板によれば、この唐沢の滝は、王滝村の氷が瀬、上松町の寝覚ノ床と並び木曽三勝と呼ばれるとのこと。
へ~、そうなんだ。他の2つは既に見ているので、これで三勝を極めた。なんか得した気分。
ここからは、黄葉を楽しみながらの下りとなる。



今年の紅葉は去年と違って色が悪い。雨が多かったせいだろうか。
すごく絵になる風景に出た。

見上げると、未明に見た半月がまだ空にあった。

さらに黄葉を楽しむ。


木曽福島の町はずれでR19に入ると、最後の目的地である奈良井宿に向かう。
R19は大型などの交通量が多く、結構神経を使う。
途中、コンビニに寄って最後の補給。
おにぎり大1個、牛肉コロッケ1個、菓子パン1個を食べる。
奈良井駅から輪行で帰りたいと思っていたので、ここで電車の時刻を確認したら、13時25分発の電車を逃すと次は15時56分発となる。
現在、12時25分で、あと1時間。輪行作業を除くと45分しかない。
ちょっと無理かなぁ。
2時間以上も待つのは嫌なので、目的地を塩尻に変更する。
目標は塩尻発14時54分発の特急しなの。
そうと決まると、いざ奈良井宿へ。
鳥居トンネルは道幅が狭く危険なので、姥神トンネル、奈良井ダムと迂回して、奈良井宿には13時15分頃に到着。
奈良井宿の駐車場脇のごく短いショートカットの山道を通り街道筋に出る。
街道筋の入口。大木が立っていた。

案内表示。古い町並みは結構長い。

ゆっくりと流す。


奈良井駅のホームの上

ここから再びR19に戻り、先を急ぐ。
塩尻までの距離はわからないが、ギリギリかなぁ。
R19は全体的には下り基調だが、旧街道を避けたり、鉄道の跨線橋だったり、意外とアップダウンがある。
予定の電車に間に合うよう、とにかく一所懸命自転車を漕ぐ。
塩尻ICまでの距離表示が出始めると間に合いそうな雰囲気になってきた。
あと4~5kmかと思っていたら、急に塩尻駅1kmの表示がでて、これで一安心。
塩尻駅には、14時25分前に到着。

発車までにちょうど30分あるので、ちょうどいい時間。
乗車前に缶コーヒーを買って、無事車中の人となる。
松本からの北アルプスの風景は素晴らしく、姨捨からの善光寺平の風景もすごく良かった。
徹夜で走ってきたので時折寝落ちしそうになったが、景色を楽しむため何とか堪えた。
帰宅後は、汚れた自転車の掃除、風呂、食事支度と食事の順にこなす。その後、写真の整理をし始めたが、20時から女城主直虎を見たら、作業する気が失せてしまい、布団を引いてバタンキュー。
月曜日の深夜に至り、ようやく書き終えた。
今回は、本当に会心のサイクリングとなった。
走行距離:152.52km、所要時間:13時間40分、AVE:16.1km/h、グロス:11.2km/h、獲得標高:2771m


