九州の豪雨災害があった直後であり、後ろめたい気持ちもあったが、良い天気を逃したくないので、暖めていたコースでサイクリングに行ってきた。

前夜編からの続き
出発は、金曜日の午後10時20分。
昼休みには15分ぐらい席上で寝ることができたが、できれば出発前に横になって仮眠をとりたかった。
仕方がないので、松本行き最終列車の中で仮眠に努める。
金曜日の晩だったが篠ノ井を過ぎるとガラガラになったので、途中からロングシートに横になると、ごく短時間、浅い夢を見ることができた。
松本には定刻どおり24時10分に到着。
夜明けまでの時間はたっぷりあるので、特に急ぐことなく準備する。
松本駅はアルプス口から0時40分に出発。

午前4時ぐらいになると薄明るくなるはずなので、トンネル区間が終わる上高地との分岐点に4時に着くのが目標。
この分岐点までは43kmなので、多分大丈夫だろう。
今回は長丁場なので序盤に消耗したくない。
ホイールをゾンダに交換してきたおかげで、軽く漕げている。
1回目の休憩は波田支所手前のセブンイレブン。

最後のコンビニは新島々だが、改装などで開いていないこともあるので、1つ手前のコンビニにした。
今日は補給箇所がないので、練乳ミルクツイスト、ジャムパン、ミックスサンド、おにぎり3個、ポカリ900ccを買い、ツイストパンだけ食べていく。
新島々を過ぎると民家も少なくなる。行く手には月が歓迎してくれている。

次の休憩は道の駅風穴。

インナーローでチェーンが時々飛ぶので、アジャスターで調整する。
また、Tシャツでは肌寒くなってきたので、長袖を1枚重ねる。
道の駅には仮眠する人の車が多く、「車があれば、ここを起点にできるのに」とうらやましくなる。
奈川渡ダムの手前まできた。

ここは、トンネルの途中に分岐がある。首都高にはいくつもあるが、地上では珍しいだろう。
奈川渡ダム。月が湖面に反射して良い感じ。

ここからは、トンネルが多い区間。
幅員が狭いトンネルが多く、日中は怖い思いをするそうなので、夜間の通過は効果的だと思う。
途中からトンネルの勾配が強くなり、だんだん脚が消耗し始める。
しかも、暗いため目の焦点が合いにくいのか、眠くなってきた。
上高地との分岐には3時50分に到着した。思惑どおり空が白み始めてきた。

空腹も眠さの原因なので、ここではしっかり食べていくことにした。
ミックスサンドとおにぎり2個。
腹が膨れると眠さも解消されたようだ。約15分の休憩となった。
ほどなく安房トンネルとの分岐に着く。

ここで右折すると、ゲート。

徐々に明るくなり、突然、高い山が現れた。

この時は判らなかったが、その後、一番高いのが前穂高岳だと判った。
何度も折り返す中で、こんなところも通過した。

この辺りから、奥穂高岳も見え始めるが、木の間越しなので、シャッターチャンスがなかなか来ない。

突然、上方で動物が動く物音がしたので見上げると、サルの群れだった。
全体的に個体が小さく、凶暴性はないようだ。

ようやく開けたところに出た。奥穂、吊り尾根、前穂。

安房峠の峠道は上に行くに従い視界が開ける場所が増える。
こんなにも穂高連峰が見えるとは想像していなかった。
中ノ湯温泉の少し上で登山者の車が10台以上駐車されていたが、この山(焼岳?)に上るのかな?

折り返しの区間が終わり、安房峠の方に直線的に進むようになったところで、左側の谷間に霧が現れた。

午前5時15分に安房峠に到着。こんなに良い景色だとは思いもしなかった。

振り返ると穂高連峰。

しかし、問題もある。ブユがやたらと多くまとわりついてくる。
ヘルメットに入り込んだり服の隙間に入ったり。
インナーローの調子が全快でないので、ここで再度調整したが、ブユには参った。
インナーローの方は、ロー側のアジャストボルト緩めると、ようやくチェーンの歯飛びは収まった。
カンパのハブのフリー本体は、ミケのものよりも、若干中心寄りになっているようだ。
前にもこんなことがあったよなぁ。
安房峠の看板が設置された箇所は峠からしばらく下ったところ。

早朝のダウンヒルはさすがに寒い。ウィンドブレーカを1枚重ね、手袋もフリースのものを重ねる。
これから行く平湯峠方面が見えてきた。

見えている橋は新道の橋。これから行くのは旧道。
平湯温泉まで降りてきたが、早朝なので、やはり人っ子一人いない。
高山方面に向かい、途中で左折し平湯峠に向かう。気温は14℃

ここから平湯峠までが、特にきつかった。
安房峠で疲れ切っているし、勾配も強め。
さらに眠くもなってきた。
たまりかねて休憩し、ジャムパンを食べた後、座って下を向いていると、ウトウトとしてしまう。
ただ、これで眠気は収まり、その後走行中に眠くなることはなかった。
平湯峠には6時50分に到着。ここから、まだ1000mも上らないといけない。

高山市には雲海が広がっていて、その向こうには白山が浮かんでいた。

平湯峠まで来る途中、高山に下りてバスで松本まで戻ってこようかと頭をよぎったが、乗鞍スカイラインに入ってからは勾配が落ちてくれて良かった。
乗鞍スカイラインの序盤は特に良い景色もなく淡々と上るが、途中から様子が変わってきた。
まずは、笠ヶ岳と抜戸岳。

お次は、待ってましたの槍ヶ岳。


高度を上げるにつれ、どんどん景色が良くなっていく。
夫婦松というところまで来たら、展望台らしきものが見えたので、行ってみたらここも絶景。
平湯峠で見た雲海がバージョンアップした。

さらに進むと、また小さな展望台があり、北ノ股岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳、槍穂高連峰などが一望できた。

天気は快晴だし、言うことなし。

折り返し区間を過ぎると、ようやく頂上一帯の台地状のエリアに入る。
平湯峠が遙か下に見え、今上ってきた道もよく見える。

景色は良いのだが、この辺もブユが多く、写真を撮っているだけでなく、走っているときも、超鬱陶しい。時折刺されたりするし。
脚には大きなダメージも現れた。股関節付近の太ももが攣り始めた。
できるだけ踏まないようにしていると攣りは収まってホッとする。
この辺まで上がって、ようやくブユが収まってきた。いつの間にかハイマツ帯になっている。

絶景が続く。

振り返ると、

この地形はカールのようだが...

ナイスショット

頂上の剣が峰が見えてきたが、岐阜県側からは徐々に霧が上がってきている。

畳平のきれいな池

畳平到着は9時30分。記念撮影していると、運転手さんなのか、親切な方がシャッターを押してくれた。

売店は特に興味の湧くものが無く、そばやうどんがバカ高いので、すぐに退散する。
エコーラインに向かう。
長野県境

こちらの景色も最高。

ここで最後の補給食、おにぎり1個を食べ、念のため持ってきた防寒具をすべて身につけ下り始める。

雪の壁があった。

スキーヤーがたくさんいた雪渓。

ダウンヒルは、道幅が狭いところが多く、だいぶ気を遣った。
休暇村まで下りると、そのまま梓川に向かって下っていくことはせず、上高地乗鞍スーパー林道、奈川経由で奈川渡ダムに向かうことにした。
それは、奈川渡ダムより上流のトンネル地獄を避けるため。
初めのうちは園地の中を通っていて景色も良い。

しかし、白樺橋を渡ると様子が変わる。
林の中で上り坂が延々と続く。
100mぐらいだと思っていたが、体感で200m以上あり、ダマされたなぁ...
ようやく展望箇所があった。

しかし、基本は林の中で、飽き飽きした頃、ようやく白樺峠に到着。

ここからは、上りは基本無いものとと思っていたが、ここでも裏切られた。
奈川を過ぎてからはダム湖のだいぶ上の方まで何度か上らされてしまう。
八つ当たりになるが、ダムを造った東京ダムが恨めしくなる。
もう、ムカムカ来ている状態。
二度とこのルートには来ないだろう。
やっと奈川渡ダムまで戻ってきた。今朝未明に月の写真を撮った箇所。

奈川渡ダムを過ぎた後も大きめの上り返しが1箇所あり、その後、道の駅に寄っていく。
下界に下りるとすごく暑いし、エネルギー補給のためにもソフトクリームを食べていく。

最後の休憩は新島々。ここでは、ガリガリ君とグレープジュース。

松本までは、尻の痛みがひどく、だいぶ辛かった。
駅には14時過ぎに到着。金券ショップで企画切符の特急券を買ったので東口に到着。

サイクリングを終えての実感は、「乗鞍は景色がダイナミック」。
景色が単調な富士山に比べると、穂高連峰から白山に至るまで、ゴージャスかつグレイト。
ホントに来て良かった。
また、ホイール交換をしておいて、ホントに良かった。
走行感が軽く、これに救われた。
走行距離:152.74km、所要時間:13時間25分、AVE:14.7km/h、グロス:11.4km/h、獲得標高:3292m



展望も良く標高差もばっちり稼いで大満足だったろうと思います。
まだ雪壁も高いですねえ。気持ちよさそう。
私はこのコースの一部、焼岳に登った時釜トンネルに小径車を置いて上高地から下山した後登山口付近まで走りました。ほんの僅かでしたが気持ち良かったです。
あとは乗鞍ヒルクライム大会に参加した時苦しみながら頑張りました。
乗鞍岳はまだ登ってないので、今度は自転車で登山口まで頑張り、登山終了後下山もいいなあなんて夢見てます。
どっちから登るかなあなんて考えていました。
平湯側からは走ったことないんで心惹かれますが、そちらからの方が少し標高が大変みたいですね。
大変参考になりました。
なお、私が行く場合はすぐ近くまで車利用で自転車で走る距離はわずかですが(*_*;